不登校・保健室登校の子が元気で教室に通えるようになった! ―劇的に改善した不登校―

発達障害児の子育てに役立つ実践例シリーズ①

◉発達障害をもつわが子にどう関わったらいいのか?!

そのヒントが得られるように、私の発達障害児の子育て実践を載せていきます。

1回目は、不登校・保健室登校のA男(小4、通常学級在籍)の子育て実践です。

A男は、通常学級在籍でしたが、ADHDの診断を受けており、学力的にも劣っていました。
(漢字は小1レベルから、算数は小2レベルからわからない問題がありました)

当時、学級担任を外れていた私は、空いている時間の中で、2学期から毎日1時間ほどA男を見ることになりました。結果として、A男の不登校・保健室登校は劇的に改善しました。
どうして劇的に改善したのか、その中に子育てのヒントがきっと見つかりでしょう。

◆1 A男のスタート児の状況

A男は、1学期の段階で欠席が39日に達し(年間通算30日以上の欠席で不登校)、

出席の場合もお昼近くになって保健室に登校していました。

しかも、母親が車に乗せて登校する状態です。

保健室登校後も、そのままそこで給食を食べ、その片付けもしません。

その後、保健室で好きな本を読んだり、おしゃべりをしたりして過ごしていました。

教頭先生や教務主任の先生がA男を代わる代わる見ていましたが、1学期中ずっとこのような状態でした。

教頭先生から指示があり、こうした状態を改善するために、2学期から1時間だけ私が見ることになったのです。

みなさんなら、どう関わりますか?

もう一度、「A男のスタート時の状況」を読んで、状況をイメージしてみてください。

◆2 2学期から1時間、私が見ることに! まず、何をしたか?

まずは、「学校が楽しい」と思ってもらえるように、その子の好きな遊びを中心に関わりました。

はじめこそ積み木やブロックでの1人遊びを好みましたが、

すぐに私と一緒にジェンガ、サッカーゲームをしたり、はさみ将棋や五目並べをしたりして楽しむようになりました。

■なぜ一緒に楽しむようになったかー楽しませる秘訣―

たとえば、はさみ将棋。

簡単に言えば、気づかれないようにわざと勝たせて楽しませる。

これに尽きます。勝負事はやっぱり買った方が楽しいですから。

ただし、徐々に負ける体験もさせていきます。

一つは負けることへの抵抗力を付けるためと、

時には負けた方が勝ったときの喜びが大きいからです。

また、私がわざと負けていることがバレないためでもあります。

はさみ将棋で、私が相手のコマを取ろうとしてコマをくっつけると、

A男は「待ってました!」とばかりに、逆に私のコマをはさんで取りました。

本当はわざとなんだけど、

私が「しまった!そこにいたか。」

と言うと、A男は、嬉しそうにしていました。

その表情は今でも思い出せます。

こんな感じですから、ゲームをしていて楽しいわけです。

合わせて、遊びの準備や片づけもいっしょにするなどして、本人も片づけの一部を担うようにしていきました。一緒に準備をした方が早くゲームを始められますし、一緒に楽しんだのですから、自分でも片付けを手伝うことはさほど嫌がらずにしてくれました。

◆3 信頼関係を築いた後にしたこと ー徐々に学習を入れる・・・ー

■信頼関係を築いた後は…徐々に合間に学習を入れる

こうして、その子が興味を持った活動に一緒に取り組むことで、私はその子との信頼関係を築いていきました。

◉ここまでのポイントは、まずは信頼関係を築くことが最優先であること。そのためには、その子が興味を持った活動、言い換えると楽しい活動に一緒に取り組むことですね。

合わせて、遊びと遊びの間に入れた漢字や計算の練習―当初は全く見向きもしなかったことーに取り組めるようになりました。

私「少しは勉強しないとさ、校長先生に叱られるから。」と言いつつ、遊びの合間に2分、3分と少しだけ学習を入れていきました。

学習のはじめの段階では、学習への抵抗感を減らすためにも、学年に関係なく簡単にできるものからスタートしました。そうすれば、簡単な課題なので、学習課題に取り組む度に、「できたね!すごいね!」とほめられます。

はじめのうちは、遊びたいからやむを得ず学習するという感じでした。それでも続けていくうちに、小さながんばりでもほめられるものですから、少しずつやる気も出てきました。そして、学習時間を4分、5分と少しずつ増やしていきました。

◆4 仲立ちをして…学級の仲間とも遊べるようにしていく

■仲立ちをして…学級の仲間とも遊べるようにしていく

教科学習(の遅れを取り戻す)だけでは、不登校・保健室登校は改善しません。学級の友達の輪にも入れるように、社会性や友達関係の改善も図らないといけないわけです。言い換えると、学力ばかりでなく、社会性やコミュニケーション能力など、トータルな資質を育てる必要があるのです。

幸い、昼休みに保健室に遊びに来てくれる学級の仲間もいました。それを足がかりにして、友達関係の改善も図りました。

具体的にどうしたかというと、昼休みに私が仲立ちをして、一緒に遊びました。よくやったのが、鬼ごっこです。次のように仲立ちをしていました。

・鬼役で捕まえられずに大変そうだったら、私は、足が遅いふりをして捕まってあげて鬼役になる。
(子どもはずっと鬼役が続くとつまらなくなる。)

・私が鬼役の時は、本当は簡単に子どもを捕まえられるのだけど、なかなか捕まえないでただ追いかけ回す。(子どもは、鬼から逃げ切る度に喜ぶ。)

おかげで、鬼ごっこをしても、いい感じで鬼が交代するし、鬼から逃げ切れる喜びが得られて楽しいのです。

このようにすることで、学級の仲間2人(A児と私も入れて4名)と鬼ごっこなども楽しめるようになりました。

私は、約半年間、昼休みに鬼ごっこなどをして一緒に遊んでいました。また、A男は学級の仲間とはさみ将棋などをして楽しむこともよくありました。

おかげでA男は母親にも「今日は、こんな楽しいことがあったよ」と話をするようになったのです。

◆5 劇的に改善した不登

■2ヶ月経つと、劇的な変化が…

2ヶ月経った頃には、給食を学級で食べるようになり、給食の準備や片付けを自分でするようになりました。1学期は、教頭先生や教務主任の先生に給食の片付けをさせて、絶対に自分では片付けをしなかったのですが、すごい変化です。

さらに、そのまま5、6時間目に教室にいられるようになったのです。

■清掃や学級行事・学校行事にも参加できるように…

その後、2学期の終わり頃には、今まで清掃時間は、保健室にいるだけで何もしなかったのに、清掃活動に参加するようになりました。

さらに、学級のお楽しみ会に参加したり、全校ドッチボール大会などの全校行事にも参加したりできるようになりました。私は、ドッチボール大会での様子を見ていましたが、みんなと一緒にゲームに参加できていました。

これまでは、清掃はもちろん、イベントなどの楽しい活動にも参加できないでいたわけですから、とても大きな変化です。

■劇的に改善した不登校

2月には、今まで学校まで徒歩5分ぐらいのところに住んでいたのに車で送ってもらっていたのが、自分で歩いて登校するようになりました。さらに、卒業式にもしっかりと参加できたのです。

最終的には、2学期の欠席は7日間、3学期はわずか3日間で、この子の不登校・保健室登校は劇的に改善しました。

◆6 どんな子も、「できるようになりたい、わかるようになりたい」と思っている

■漢字ドリルを投げていたA男

今でも思い出すのが、漢字10問テストで全問できた時、

「先生、百点て書いて!花丸を描いて!」

と言ったその子の嬉しそうな表情です。

「がんばったね!はい、百点!花丸ね!」

こう言って書いてあげると、

また、その子はとてもうれしそうにしていました。

あの嬉しそうな表情は、忘れられません。

この子は、

「漢字なんてできなくてもいい」

「書き順なんてどうでもいい」と言い、

漢字の間違いなど指摘しようものなら、

「あー漢字練習なんかしない!」と言って

漢字ドリルを投げていたのです。

■A男とかかわることで磨かれた、私の教師としての信念

どんな子でも、

できるようになりたい、

わかるようになりたい、

良くなりたい、

そしてほめられ、認められたいと

心の奥底ではみんな思っているということ。

このことこそ、私の職業上の確信であり、確固たる信念です。

それは、いわゆる勉強でも、遊びでも、掃除でも……どれもそうです。

表面上の

「嫌だ!やりたくない! できなくてもいい! 分からなくてもいい!」

という本人の言動に惑わされてはならないのです。

それらの抵抗は、

ハードルが高すぎる、

やり方が合っていない、

あるいはまだそれ以前のクリアしなくてはならない課題がある

ということに過ぎないということ。

あるいは、まだ信頼関係ができていないということ。

A男とかかわったことで、心底そう思えました。

◆7 まとめ「発達障害をもつわが子との関わり方」

ここまで、ADHDで不登校・保健室登校だったA男が劇的に改善したケースを紹介してきました。

◉発達障害をもつ子どもの子育てのヒントは見つかったでしょうか。

ここで、これまでのことを子育てのヒントとしてまとめてみます。

①まずは、本人が興味ある活動、好きな活動、楽しい活動を中心にして、一緒に関わる(遊ぶ)こと。
そうすることで、子どもとの信頼関係を築くこと。

②その信頼関係をベースにして、本人がやりたがらない・嫌いな学習にも少しずつ挑戦させていくこと。
その場合、少しがんばればわかること・できることから挑戦させて、ほめることが基本であること。
そして、少しずつ学習する内容を難しくしていく、少しずつ学習時間を増やしていく、少しずつ学習する量を増やしていく・・・焦ることなくこのスモールステップで進めていくこと。

③学力の向上を目指すだけではダメで、社会性・コミュニケーション能力、自制心などトータルな資質を育てることを目指すこと。

④トータルな資質は、例えば準備や片付けの習慣づけなども、楽しい活動を一緒にする中で育てていくこと。

⑤たとえ、表面上、「嫌だ!やりたくない! できなくてもいい! 分からなくてもいい!」とすごく抵抗しているように見えたとしても、心の奥底では、どんな子でも、できるようになりたい、わかるようになりたい、良くなりたい、そしてほめられ、認められたいと思っていること。そう思って接すること。

⑥それらの抵抗は、ハードルが高すぎる、やり方が合っていない、あるいはまだそれ以前のクリアしなくてはならない課題―例えば、まだ信頼関係ができていないーがあるということに過ぎないということ。

だから、抵抗の背景にあるものを理解して、一つ一つ対処すべきこと。

以上、6点にまとめてみました。

◆8 子どもの動かし方、育て方を学ぶ必要がある

目の前のわが子を見ると、

  • 「何度言ったらわかるの?」と子どもを怒鳴りつけたけど、また同じことの繰り返し。
    子育てに強いストレスを感じる。
  • Youtubeやゲームにはまってばかりいる子どもの姿を見てうんざりする。
  • わが子は発達障害をもっているのではないかと思うことがよくある。
  • 宿題を嫌がってしない。やり終えさせるのにいつも一苦労する。

・・・このような実態で、ため息ばかりかもしれません。

実は、私を含めた教師は、教育学部で、教育心理学、教育学、教育法規・・・以下の専門の授業、小学校・中学校での教育実習を経て、必要な単位を取得して教員免許状を授与されます。
そのうえで、教員採用試験に合格し、晴れて新採用教員となって教壇に立ちます。

新採用教員の1年間は、ベテランの新採用指導教員が付いて相談に乗り、教え方・子どもの動かし方等々を指導することになります。さらに、教育専門書を読む、教育研修に参加する等々を積み重ねて、初めて初級レベルとなります。子どもを動かせるようになるのです。

ところが、親になることについては、特に子どもの育て方、教え方を学ぶことはありません。ペーパードライバーですらないのです。まして発達障害をもっているお子さんともなれば、子どもがなかなか親の言うことを聞かず、親が右往左往するのは、当たり前ではないでしょうか。

ですから、私、泉河潤一は、オンライン親の学校を作ったのです。

特にオンライン親の学校では、発達障害児のための子育てプログラム

①子育て「凸凹コース」

②子育て「元気アップコース」

③子育て「自由自在コース」

の各子育てコース(有料)を用意しています。

まずは、

3ステップ無料プログラム

からスタートします。

興味のある方は、コメント欄にコメントください。

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