食事を改善することで、子どもの問題行動や発達障害を改善する

◆1 子どもの問題行動は食生活が原因かもしれません!?

発達障害の有無に関係なく、子どもの問題行動はありますし、それに悩む親御さんはたくさんいます。

たとえば、

・どうして少し注意しただけで、すぐにキレてしまう
・朝、どうしてもすぐに起きることができない
・いつもそわそわして落ち着かない
・ひどく内気で引っ込み思案。友達ができない・・・

杏林予防医学研究所長で医学(分子栄養学)博士の山田豊文氏は、その著『親子で学ぶ 頭のよくなる栄養事典』の中で、このような問題行動は、栄養をバランスよく取れていないことが原因で、食事を改善することで治すことができると書いています。

いくつか本の内容の事例を挙げてみます。

「第Ⅰ部 栄養が欠けるとこんなことが!」には、次のような子どもが登場します。

 ①おとうさんのいうことが聞けない、秀樹くん
・将棋の森安秀光9段が中学校1年生の息子に殺害されて事例を紹介しつつ、その主な原因の中に栄養があるとして、次のように書いています。

「〜特にひんぱんにあまいものを食べていると、インシュリンというホルモンが分泌されて血糖値が急に低下する『低血糖症』になり、うつやだるさを感じはじめます。やがて、副腎という器官から、血糖値を上げるアドレナリンというホルモンが過剰分泌され、心臓の鼓動が速くなり、不安と混乱が起こり、自分を抑制できず、攻撃的になりやすい〜」(19p.)

つまり、糖分の過剰摂取は、子どものセルフコントロール力を失わせて、攻撃的にしやすいのですね。

 ②朝、おきられない、孝志くん
・目覚まし時計を二つも鳴らし、お母さんも起こしてきてくれるのに、どうしても朝起きられない、孝志くんの事例を紹介しています。それは、ビタミンCやパントテン酸などの不足にあるとして、次のように書いています。

「〜アドレナリンを分泌する副腎は、背中の上部にある小さな腺で、この器官の健康にはビタミンCとビタミンB群のパントテン酸が必要です。ビタミンCとパントテン酸が不足し、ストレスを度々受けて、副腎が刺激されていると、副腎は疲れ果てて、アドレナリンを十分に分泌できなくなります。それで、朝になっても活力が出なくなってしまうことになるのです。
孝志君が朝、起きられないのは、なまけ者だからではありません。ビタミンC、パントテン酸とカルシウムなどのミネラルが不足していることが原因です。
親や先生が厳しく叱るより、食事に気を使ってあげる方が、どれだけ子どものためにいいかしれません〜」(23p.)

カリスマ栄養アドバイザーとして、食事をコントロールすることで多くのスポーツ選手を救ってきた山田氏の言葉だけに説得力があります。

 ③塾で眠たくなってしまう、浩也くん
ラーメンやハンバーガー、菓子パンなどを食べて、塾の授業が始まると、うとうとと眠ってします浩也くんの事例を紹介しています。「お菓子やパンじゃ、成績は上がらない!」として次のように書いています。

「〜白米、白パン、白砂糖、精精油は、ビタミンとミネラルの含まれていない『空のカロリー食品』と言われています。
そんな食べ物毎日食べて勉強ができるようになるのでしょうか。浩也くんは塾でもお腹がすいて、コンビニエンスストアで買った菓子パンを食べ、授業が始まると、うとうとと眠ってしまいます。
空のカロリー食品は、血糖値を急激に上げ、また急激に下げて『低血糖症』にします……炭水化物も脂肪も体にとって必要な栄養素ですが、食べ過ぎてはいけません。脳と体の働きを高める、タンパク質、ビタミンB群、カルシウム、マグネシウムやその他のビタミン・ミネラルは、外食やできあいの食品ではなかなか十分には取れません。成績を上げたいなら、おうちの人と話し合って、食事をきちんと作ってもらうようにすることが大事です」(同書26-27pp.)

 ④そわそわしておちつかない、利夫くん
知能指数が平均以上ある利夫くんは、活発でもあり、運動も得意。しかし、根気がなく、少し長い文章になると、最後まで読み通せない。友達にいたずらをして、いつも先生に注意されている。いつもそわそわしていて、先生やお父さんが言い聞かせようとしても、目をキョロキョロして貧乏ゆすりをしたりする。また、すぐに駄々をこね、あきやすく、不器用・・・・こんな子に対して、山田氏はマグネシウムなどの摂取を勧めています。

「〜鎮静させるにはマグネシウム
こんな子どもたちは、どこのクラスにもいるかもしれません。一見元気が良いのですが、実は多動症という病気なのです……多動性の原因にまず挙げられるのは、マグネシウムの不足です……いずれにしても、利夫くんのソワソワは、言って聞かせるよりも、カルシウム、マグネシウムなどの栄養素を十分に取らせることが先決です……多動性の子どもも、ビタミンCを取らせたり、食事に気を使ってやるだけでずいぶん変わってくるものです」(同書29-31pp.)

 ⑤友達ができない、亜美ちゃん
「〜アメリカの心理学者リムランド博士は、自閉症と診断された子どもにナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンCを投与する「メガビタミン療法」を行います。その結果、子どもの半分が機敏になり、話すことができるようになります。よくならない子には、ビタミンB6を増量し、さらにマグネシウムを加えることでほぼ改善されるそうです」と、「人前でも元気になれる『メガビタミン療法』」を紹介しています。(同書35p.)

この後も、⑥おすもうというあだ名の、衛くん……⑮なかなか、アトピー性皮ふ炎がなおらない、恵太くん……などなどたくさんの事例が紹介されています。詳しくは本書をお読みください。

これらの事例を読むと、必要な栄養をとらないことで、こんなにも多くの悪影響があるのかと、がくぜんとするほどです。裏を返せば「食生活を改善することでこんなにも多くのことが改善していく」とも言えるわけで、希望も出てきます。

実際、カリスマ栄養アドバイザーと言われる山田氏の栄養指導により、プロ野球・相撲・ゴルフ・ボクシング・格闘技・陸上など多くのプロスポーツ選手が復活するなど、数多くの実績があります。

これを子育てにいかさない手はありません。食事を改善することで、子どもの問題行動や発達障害の改善に役立てていけばいいのです。端的に言えば、心身に良くない食べ物を減らし、心身に良い食べ物を増やすということです。

◉具体的にはどんな食べ物でしょうか? 
巻末に「スーパーヘルスの食べ物チェック表」がのっています。
表①は「できるだけ避けた方がよい食べ物」、表②は「できるだけ食べるとよい食べ物」です。
次の◆2と◆3の通りです。

◆2 できるだけ避けた方がよい食べ物

■表①できるだけ避けた方がよい食べ物

○アイスクリーム、キャンディー、ソフトクリーム(冷菓)

○菓子パン・カステラ・ドーナツ・ケーキ類

○ガム・ビスケット・クッキー類

○チョコレート、キャラメル…

○まんじゅう、肉まん、あんまんなど

○清涼飲料水・ジュース・炭酸飲料など

○ハム・ウインナー・ソーセージ…

○インスタントラーメン・カップ焼きそば…

○ポテトチップス、スナック菓子類

『親子で学ぶ 頭のよくなる栄養事典』186p.

◆3 できるだけ食べるとよい食べ物

■表②できるだけ食べるとよい食べ物

○緑黄色野菜(ニンジン、ピーマン、ホウレンソウ…)

○淡色野菜(キャベツ、キュウリ、ジャガイモ…)

○大豆および大豆加工品(とうふ、納豆、みそ汁)

○海藻類(ひじき、こんぶ、わかめ)

○魚・小魚(しらす、いわし、さんま、さば…)

○果物(りんご、みかん、ぶどう…) ※かんづめはのぞく。

○朝ごはん(なるべく胚芽米か玄米)

『親子で学ぶ 頭のよくなる栄養事典』187p.

◆4 スーパーヘルスの食べ物チェック表で食習慣を採点

■スーパーヘルスの食べ物チェック表

各項目○ごとに、毎日飲食する×10(点)、2日に1回ぐらい×5(点)、1週間に回ぐらい×3(点)、1ヶ月に1回ぐらい×1(点)となっており、食べる頻度が高くなるほど点数が高くなっています。

最終的に、表②の合計ー(マイナス)表①の合計で食習慣を採点します。つまり、表②「できるだけ食べるとよい食べ物」をできるだけ食べ、表①「できるだけ避けた方がよい食べ物」をできるだけ避けると得点が上がるしくみです。

・0点〜マイナス点 →Eクラス
・1点〜10点   →Dクラス
・11点〜20点  →Cクラス
・21点〜30点  →Bクラス
・31点以上    →Aクラス

21点以上が合格。10点以下の場合は、危険信号がともります。

ちなみにわが家の場合、表②の海藻類と魚・小魚類だけが2日に1回ぐらいで、あとは毎日飲食するので60点(ご飯は玄米です)。表①の合計は22点で差し引き38点でした。(H24.1.28現在)

「栄養のバランスのとれた食事をしよう!」といっても、このような具体的基準がないと、スローガンばかりでちっとも食習慣は改善しません。そこで、わが家では、この山田氏の「スーパーヘルスの食べ物チェック表」を基準にしています。

◆5 スーパーヘルスの食べ物チェック表を食習慣の改善にいかす

この表①の食べ物はなるべく多く食べないようにして、表②の食べ物をなるべく多く食べるようにすることを基本にして、少しずつ食習慣の改善を図っていけばよいと思います。

わが家のケースについて少し紹介します。

▶︎糖分を減らす
私を含めて子ども達は、ケーキなど甘い物が大好きなのですが、「今日の夜は外食して食後にパフェを食べたい。だから、日中は甘い物を控えておこう」などと考えたり、冷蔵庫にある清涼飲料水・ジュース・炭酸飲料なども、コップ一杯ずつ飲むなど一度にたくさん飲まないようにしたりしています。
また、母親がルイボス茶などを作り置きしていて、普段はなるべく糖分のないこちらを飲むように親子とも気をつけています。
ケーキなどは、誕生日を祝ったり、子どもが○○大会でがんばったことを祝ったりする場合など、特別感の演出に使っています。つまり、特別な場合に絞っています。

▶︎エンプティ食品を減らす
インスタントラーメンなども、子どもは好きなので食べますが、月2回程度で回数は多くしないようにしています。ハンバーガーなども、子どもは好きですが、こちらは畑作業をした後などのご褒美として年3回程度食べるぐらいです。

▶︎主食を玄米ないし分づき米(5分づき米)にする
主食は毎日のことなので、影響が大きいです。ですから、玄米ないし5分づき米にしてきました。おかげで、主食から多くのミネラルを摂取できたと思います。
「玄米」というと、マニアックに映るかもしれません。しかし、現在は多くの市販の炊飯器に玄米炊飯モードが入っているように、「玄米」を食する人は意外に多いです。玄米を食べていることを表立って言わない、隠れ玄米ファンがいるのです。おそらくは、主食を白米から玄米に変えるだけで、楽にミネラルを摂取できるからでしょう。

▶︎塩を自然塩に、砂糖を粗糖にして、調味料からミネラルを摂取できるようにする
ミネラルの摂取が重要なので、塩や砂糖などの調味料はそれぞれ自然塩(粟国の塩)、粗糖(喜界島粗糖)にしています。
少々高いですが、買いそろえればいいだけなので、楽にミネラルを摂取できるのでおすすめの方法です。

▶︎朝食はパン食ではなくて米食
元横綱白鵬の栄養アドバイザーも務めていた山田氏ですが、月刊『致知』の中で「朝はパン食と米食のどちらが健康によいのか問われた際、『比べものにならない。米食がよい』」と答えていました。この記述を読むずっと前からなのですが、わが家の朝食は、ご飯に味噌汁の和食が基本です。
さらに言うと、わが家の朝食は、〈玄米食・みそ汁・納豆・野菜サラダ・自家製ヨーグルトと果物(以上定番)、それに魚かウインナー(ボイリングしたもの)か目玉焼きか肉など〉です。

以上、わが家のケースについて紹介しましたが、取り組める範囲で少しずつ改善を図っていけばいいと思います。

◆6 具体的な基準をもとに、少しばかりの工夫や努力の継続を!

 「いちいち気にしないで好きなものを好きなだけ食べ(させ)たい!」

「親の私自身が野菜嫌いだし、いちいち野菜サラダを作るのはめんどうなの!」

こんな声が聞こえてきます。栄養のバランスを考えて・子どもがおいしく感じるように料理を一工夫して……となると、確かに大変です。

しかし、今の時代、「何を食べるか・どう食べるかなどを気にしないで自然体でいこう!」というのは、ある意味ジャングルの中を丸腰で歩くようなものでしょう。

■栄養面からの問題行動を改善するアプローチを!

山田氏は、『親子で学ぶ 頭のよくなる栄養事典』の「栄養状態と問題行動」という一節の中で、次のように書いています。

最近は学校の先生方から、子どもたちの異常についてよく相談を受けます。近頃の子どもの傾向として、「登校拒否」や「自閉的な症状」、「家庭内暴力」などが増加し、また「眠れない、食べたくない、何もしたくない」と言う「3ないタイプ」が増えているそうです。
いつから子どもたちは、こんなにおかしくなってしまったのでしょうか。

▶︎過不足ない摂取で、非行が改善
アメリカでは以前から、非行をする子ども、多動癖や無気力の子どもの栄養状態について調べられていました・・・
その中に「犯罪と非行」と言う項目が設けられており、それにはこう書かれています。
「研究では、犯罪者の80%以上が低血糖症患者で、日常的に気だるさ、冷や汗、神経不安、疲労などの症状がある。低血糖症の原因は、生成された炭水化物(加工食品)の多い食事と、(コーヒーなど)、カフェインの多いものに溺れることであり、砂糖の摂りすぎは、鬱、多動、反社会的行動の原因になる……。
自然で新鮮な食物には、ビタミンとミネラルを補助することで、行動・常識・感情が著しく改善され、意欲的になる

わが国の教育、心理学会等では、非行の原因として、遺伝上の問題や、家庭環境、社会や幼児体験の影響などが、これまで考えられてきました。
確かに、それもあるでしょうが、「栄養不足」の問題も、見過ごすことができない原因の1つ

(同書158-160pp)

つまり、問題行動や発達障害を改善するうえで、栄養面からのアプローチが効果的な一つの方法になる!ということです。

具体的に言えば、先に紹介した、できるだけ避けた方がよい食べ物を避け、できるだけ食べるとよい食べ物を食べるということです。

山田氏は、できるだけ食べるとよい食べ物について、覚えやすく「ま・ご・わ・や・さ・し・い」食と呼んでいます。

■偏食をなおすことは難しいけれど大丈夫!

「頭では栄養の大切さはわかるけど、実際には偏食のすごいわが子を思うと非常に難しい!」

このような声が聞こえてきそうです。
でも大丈夫です。臨床医として多くの発達障害児と関わってきた杉山登志郎氏によれば、「少しずつ食事内容を広げる努力を続ければ、自閉症のような強いこだわりを持つ児童でも、小学校入学前に偏食の克服は可能であるものがほとんどである」とのことです。

具体的な方法については、ぜひ次の記事をお読みください。
👉『発達障害児にありがちな偏食をなおす』

■少しばかりの工夫や努力の継続を!

好きなものだけ食べた結果いろいろな悪影響が出てきて困るよりも、親と子が少し工夫や努力をし食事に気をつけることで未然にその悪影響を避けることができるとしたら、その少しばかりの工夫や努力を継続したいところでしょう。それに、歯磨きと同じでよい食習慣を身につければ、子どもには一生の宝物になるのです。

冒頭で紹介した「孝志君が朝、起きられないのは、なまけ者だからではありません。ビタミンC、パントテン酸とカルシウムなどのミネラルが不足していることが原因です。
親や先生が厳しく叱るより、食事に気を使ってあげる方が、どれだけ子どものためにいいかしれません〜」(23p.)等々の記述を読み返すとき、食事からのアプローチすることは、難しいけれども効果の期待できる、あたたかい方法ではないでしょうか。

*追記

親ばかりでなく、子ども自身にも「食の重要性」をわかってもらうといいのです。そうすれば、親がくどくど注意しなくとも、子ども自身で気をつけるようになります。それに、子どももいずれは親から自立していくわけですから、子ども自身にわかってもらうことが必要です。

そのために、最適な本が『親子で学ぶ 頭のよくなる栄養事典』 です。
この本は、もともと毎日小学生新聞に連載されていた文章がもとになっているので、小学生でも十分に読めます。わが家では「父と子の勉強会」で一時期テキストにして学んでいました。たとえば、この本を親子で読み合えばいいのです。あるいは、親が読んで子どもに話して聞かせればいいのです。

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